友人M(38歳)は、外資系証券業界でキャリアを築く女性。債券の敏腕セールスで、合併、リストラの激しい外資系金融業界で、何回も転職しながらサバイバルしている。
美形だし、年齢を言うと「信じられない」と驚かれるほど、若く見える。おしゃれで、スポーツもできて、タフで優しくて“正義漢”。ある転職の際は、納得できないことをムリに命令する上司にキレて、タンカをきって(もちろん英語で)辞めたという逸話もある。
そんな彼女が私に嘆いてきた。「私、債券は売れるのに、どうして自分を上手に売れないんでしょうか?」
確かにその通り。負け犬世代のキャリア女性は、仕事は有能な人ばかり。しかしその有能さが、恋愛に際しては歯がゆいほど発揮されないのだ。
債券も自社の商品もいくらでも営業できる。プレゼンを勝ち取るのも得意である。しかし、「自分」という商品だけは売れないのだ。
「分かりにくい商品」は売れないという法則
長年の知り合いなので、Mの恋愛話も知っている。大抵は、Mがサバサバした性格のため、男と恋愛関係に至る前に友達になってしまうというパターンが多い。
確かに彼女のことは、男っぽいさっぱりしたヤツと思っている人が多いと思う。しかし本来の彼女は、実はかなり“乙女”なのである。彼女が一人暮らしを始める時に「引っ越し祝いは何がいい?」と聞いたら、「天使のついたもの」と言われて、驚いたことがある。
持っているバッグはバーキンで、スタイリッシュなヨーロッパブランドでキメている彼女が「天使」とは? その後Mの部屋に行って分かったのだが、彼女はその頃「天使グッズ」にはまっていて、シャンデリアからは天使が下がり、壁の時計では天使が微笑み、トイレでは天使が手招き…、というメルヘンな部屋に住んでいた。「有能なキャリア女性」と「天使好き」というミスマッチ。長年の知り合いである私にとっても、十分意外だったのだ。
nikkeibp.jp - 2007/4/13